「転職の求人票はどこを見ればいいのだろう」「給与や休日が希望に合っていても、応募してから条件が違うと気付いたらどうしよう」。
転職の求人票は、仕事内容・勤務地・契約内容を確認し、給与・時間・休日を同じ項目で比較すると整理しやすくなります。書かれていない情報は「要確認」として残しましょう。
同じ月給でも基本給や固定残業代の内訳は異なり、休日の表現だけでは休める曜日までわからない場合があります。この記事では、確認項目と比較表、応募先への質問例を紹介します。
転職の求人票はどこを見る?応募前に確認したい基本項目
まずは、次の3項目から整理していきます。
- 仕事内容と入社後に担当する業務
- 勤務地と転勤・異動の可能性
- 雇用形態と応募に必要な経験・資格
1.仕事内容と入社後に担当する業務
求人票を見るときは、職種名だけでなく、実際に担当する仕事内容を確認しましょう。
例えば、同じ事務職でも、データ入力が中心の仕事もあれば、電話対応や取引先との連絡、営業担当者のサポートなどを任される仕事もあります。
仕事内容については、次の項目を確認しておきましょう。
- 入社後に担当する具体的な業務
- 自分が経験してきた仕事との共通点
- 新しく覚える必要がある業務
- 仕事を進める際に使用するツールやシステム
- 入社後に担当業務が変わる可能性
なお、2024年4月からは、募集時に明示する労働条件として、従事する業務の変更の範囲が追加されています。
入社直後の仕事内容だけでなく、将来の配置転換などで担当する可能性がある業務の範囲も確認できるようになっています。
制度の詳しい内容は、厚生労働省の募集時の労働条件明示に関する案内から確認できます。
希望している仕事と実際の担当業務が合っているか、応募前に確認しておきましょう。
2.勤務地と転勤・異動の可能性
勤務地については、求人票に記載されている住所だけでなく、実際にどこで働くことになるのか確認しましょう。
会社の本社所在地と、入社後に勤務する場所が異なる場合もあります。
次の項目を確認しましょう。
- 入社直後の勤務地
- 自宅からの通勤時間と交通手段
- 転勤や異動の可能性
- 勤務地が変更される場合の範囲
- 在宅勤務がある場合の利用条件
業務内容と同様に、2024年4月からは募集時の明示事項に「就業場所の変更の範囲」が追加されています。
例えば、現在の勤務地が東京でも、変更の範囲に全国の事業所が含まれていれば、将来的な転勤について確認が必要です。
通勤時間を短くすることが転職の目的なら、現在の勤務地だけでなく、入社後に働く場所が変わる可能性も含めて比較することが大切ですね。
3.雇用形態と応募に必要な経験・資格
仕事内容や勤務地を確認したら、雇用形態と応募条件にも目を向けてみましょう。
「正社員」「契約社員」などの名称だけで判断せず、契約期間の定め、雇用主、試用期間とその間の条件を確認しましょう。
特に契約期間の定めがある求人では、契約期間や更新の基準、更新回数・通算契約期間の上限などを確認しておきましょう。
また、応募に必要な経験や資格についても、次の項目を整理してみてください。
- 必須とされている実務経験や資格
- 歓迎される経験やスキル
- 必要なパソコン操作や専門知識
- 試用期間の有無・期間・その間の給与などの条件
- 有期契約の場合は契約期間と更新条件
例えば、Excelの実務経験が必須と記載されていても、具体的にどのような操作が必要なのかまでは書かれていない場合があります。
そのようなときは、実際の業務で必要になる操作や経験を確認することで、自分のスキルと照らし合わせやすくなるでしょう。
求人票に記載された応募条件と、自分がこれまで経験してきた仕事を比較することがポイントです。
経験を整理してから応募条件と比べたい方は、転職の自己分析で使える経験の棚卸し表を活用してください。
給与・勤務時間・休日・研修制度の見方と確認ポイント
ここでは、次の4項目について詳しく紹介します。
- 給与の内訳と固定残業代
- 勤務時間と残業時間
- 年間休日数と休日制度
- 研修制度と入社後のサポート
1.給与の内訳と固定残業代
求人票に記載されている給与は、金額だけでなく内訳まで確認してみましょう。
例えば、月給30万円と書かれていても、基本給だけで30万円なのか、各種手当や固定残業代を含んだ金額なのかによって内容は異なります。
給与欄では、次の項目を確認しておくと比較しやすくなります。
- 基本給と各種手当の金額
- 固定残業代の有無・金額・対象となる時間数
- 固定残業代の対象時間を超えた場合の追加支給
- 賞与や昇給の制度、支給条件
- 通勤手当などの支給条件
例えば、次のような求人を見つけたとします。
| 給与項目 | 記載例 |
|---|---|
| 月給 | 300,000円 |
| 基本給 | 250,000円 |
| 固定残業代 | 50,000円 |
| 対象時間数 | 月25時間分 |
※給与の内訳を説明する架空の例です。固定残業代の適法性や必要額を計算したものではありません。
この場合、月給30万円のうち5万円が固定残業代として設定されています。
固定残業代がある求人では、通常の賃金部分と固定残業代を区別し、対象の時間数と超過分の追加支給を確認します。法定の計算による割増賃金が固定残業代を上回る場合は、差額の支払いが必要です。
固定残業代に記載された時間数は、実際に毎月その時間まで残業することを示すものではありません。
実際の残業時間については、勤務時間の欄や面接などで別に確認しましょう。
固定残業代の考え方は、厚生労働省の固定残業代に関するQ&Aでも確認できます。
給与の明示事項については、ハローワークの労働条件に関する解説から確認できます。
2.勤務時間と残業時間
勤務時間については、始業時刻と終業時刻に加えて、休憩時間や残業の有無も確認しましょう。
「9時から18時まで」という勤務時間の記載に加え、休憩時間、残業、別のシフトの有無を確認します。
シフト制や変形労働時間制を採用している場合は、勤務する曜日や時間帯が変わる可能性もあります。
次の項目を比較してみてください。
- 始業・終業時刻と休憩時間
- 残業の有無と月平均の残業時間
- シフト制や交替勤務の有無
- 繁忙期に勤務時間が変わる可能性
- 在宅勤務や時差出勤などの利用条件
月平均の残業時間が記載されている場合でも、月ごとの忙しさによって変わることがあるでしょう。
実際の働き方を知りたいときは、配属予定の部署における残業時間や繁忙期の勤務状況を確認する方法もありますね。
3.年間休日数と休日制度
休日については、「週休2日制」という言葉だけで判断せず、年間休日数や具体的な休日も確認してみましょう。
週休2日制は、毎週必ず2日休めるという意味とは限りません。
一方、完全週休2日制は、毎週2日の休日がある制度です。ただし、休日が必ず土日になるとは限らないため、休める曜日も確認したいですね。
ハローワークの求人では、週休二日制が「毎週」かどうかも確認できます。週休二日制の表示に関するハローワークの資料(PDF)も参考になります。
求人票では、次の項目を比較するとわかりやすくなります。
- 年間休日数
- 週休2日制・完全週休2日制の区分
- 土日祝日が休日になるか
- 年末年始・夏季などの休暇制度
- 休日出勤の有無と振替休日などの扱い
- 年次有給休暇の付与条件
例えば、同じ年間休日120日の求人でも、土日祝日が休みの会社と、シフトによって休日が決まる会社では働き方が異なります。
また、年次有給休暇の付与日数と、実際に取得できている日数は別の情報です。
休日の日数だけでなく、休める曜日や休暇の利用状況も含めて比較しましょう。
4.研修制度と入社後のサポート
求人票に「研修制度あり」「未経験歓迎」と書かれていても、具体的な内容まではわからない場合があります。
そのようなときは、次の項目を確認しましょう。
- 入社後に受けられる研修の内容
- 研修期間と実際の業務を始める時期
- 仕事を教えてくれる担当者の有無
- 研修終了後のサポート体制
- 業務に必要な資格取得の支援制度
例えば、入社後すぐに担当業務を任されるのか、先輩社員と一緒に仕事を覚える期間があるのかによって、働き始めたときの環境は変わります。
「研修制度あり」という記載だけで判断せず、実際にどのような流れで仕事を覚えていくのか確認してみると安心ですね。
求人票の比較表と面接・問い合わせで使える質問例
複数の求人を比べるときは、記載されている内容と、記載がなく確認したい内容を分けておきましょう。
ここでは、次の3つの方法を紹介します。
- 求人票の確認項目を比較表にまとめる
- 面接や問い合わせで使える質問例を用意する
- 応募時の求人票を保存し、提示条件を照合する
1.求人票の確認項目を比較表にまとめる
気になる求人を見つけたら、仕事内容・勤務地・給与・勤務時間・休日・研修制度などを同じ項目で比較してみてください。
求人票に書かれていない内容は、空欄のままにせず、確認したいこととして残しておくと便利です。
例えば、1社ごとの確認メモは次のように作れます。複数の求人を比べる場合は会社ごとに同じ表を作り、同じ項目を見比べましょう。
| 比較項目 | 求人票に書いてあること | 記載がなく確認したいこと |
|---|---|---|
| 仕事内容 | 営業事務・受注入力 | 電話対応の割合、担当業務の範囲 |
| 勤務地 | 東京都内の事業所 | 具体的な配属先、出社頻度 |
| 給与 | 月給28万~32万円 | 経験に応じた給与の決定方法 |
| 勤務時間 | 9時~18時 | 配属部署の残業時間 |
| 休日 | 年間休日120日 | 休める曜日、休日出勤の頻度 |
| 研修 | 入社時研修あり | 研修期間と具体的な内容 |
※上記は架空の求人を想定した比較例です。
特に、自分が転職先に求めている必須条件については、確認が必要な項目を残しておくとよいでしょう。
また、求人票を比較する前に希望条件の優先順位を整理しておくと、どの項目を大切にしたいのか考えやすくなります。
転職の軸が決まらない方は、希望条件を「必須」「できれば欲しい」「妥協できる」に分ける方法も参考にしてみてくださいね。
条件の優先順位を決める手順は、転職の軸が決まらないときの整理方法で解説しています。
求人票に記載がないことと、実際に制度や条件が存在しないことは別です。
わからない項目をそのままにせず、面接や問い合わせで確認できるよう整理しておきましょう。
2.面接や問い合わせで使える質問例を用意する
求人票の比較表を作成したら、記載がなく確認したい項目を質問に変えてみましょう。
面接では、自分が応募先で働く姿をイメージできるよう、仕事内容や勤務条件について具体的に確認する方法があります。
例えば、次のような質問が考えられます。
仕事内容・勤務地に関する質問例
- 「入社後は、どのような業務から担当することになりますか?」
- 「配属予定の部署では、どのような業務を担当する方が多いですか?」
- 「転勤や異動が発生する場合、どのような勤務地が想定されますか?」
給与・勤務時間・休日に関する質問例
- 「求人票に記載された給与の範囲について、入社時の金額はどのように決まりますか?」
- 「配属予定の部署では、月の残業時間はどのくらいでしょうか?」
- 「休日出勤が発生する場合、振替休日などはどのように取得していますか?」
勤務条件について質問するときは、求人票で確認できた内容を踏まえて、具体的に知りたいことを伝えてみてください。
給与や労働時間などの条件について、応募時に提示された内容から変更がある場合は、労働契約を結ぶ前に変更内容の明示が必要とされています。
詳しくは、ハローワークの労働条件変更時の明示に関する説明から確認できます。
研修制度に関する質問例
- 「入社後の研修は、どのような流れで進みますか?」
- 「業務に慣れるまでは、どのようなサポートを受けられますか?」
- 「未経験で入社した方は、どのように仕事を覚えていくのでしょうか?」
質問は多く用意することよりも、自分が応募先を選ぶために必要な情報を確認することが大切です。
求人票や企業の採用ページを確認してもわからなかった内容を中心に、質問を整理してみてくださいね。
3.応募時の求人票を保存し、提示条件を照合する
求人票は掲載終了や更新で見られなくなる場合があります。応募時点の求人URL・確認日・記載内容を保存し、面接で説明を受けたこともメモしておきましょう。
内定後は、求人票や面接で聞いた内容と、労働条件通知書などで提示された条件を照合します。給与・業務・勤務地・契約期間などに違いがあれば、入社を決める前に確認してください。
企業研究を深めたいときの本の選び方
求人票だけでは業界の仕組みがつかめない場合は、志望業界を扱う業界研究本が補助になります。業務の流れ、企業ごとの事業内容、最近の動向が自分の知りたい範囲と合っているか、目次を確認しましょう。
発行年と情報の時点も確認し、個別企業の採用条件は企業の採用ページや担当者から確かめます。本に載っている業界全体の傾向を、その会社の条件として扱わないことが大切です。
まとめ
転職の求人票を見るときは、仕事内容や給与などの一部分だけでなく、勤務地・勤務時間・休日・研修制度まで確認してみましょう。
気になる求人が複数ある場合は、同じ項目で比較しながら、自分が希望する働き方に合っているか考える方法もあります。
▶本記事の振り返り
- 仕事内容・勤務地・雇用形態・応募条件を確認する
- 給与の内訳・勤務時間・休日・研修制度を同じ項目で比較する
- 求人票に書いてあることと記載がなく確認したいことを分ける
- 面接や問い合わせで使える質問を整理し、応募先を選ぶための情報を集める
準備全体を見直したい方は、働きながら転職活動を進める6つの手順も参考にしてください。
まずは気になる求人を2つ選び、「求人票に書いてあること」と「記載がなく確認したいこと」を比較表にまとめるところから始めてみましょう。